シュッシュッシュッ―。
蒸かすとまぶしい黄金色に。
口いっぱいにほおばると、
ほっほっほっとふくらんで溶けていく。
毎日食べられそうな、ほど良い甘さ。

それは徳島の「なると金時」。
酸素でむせかえる四国山地の森を抜けて、
徳島平野のすみずみまで行きわたる吉野川の恵み。
その下流にひろがる緑と黒の芋畑。

高校時代の帰り道、芋畑のまんなかの小径。
夕陽に向かって歩くわたしの足元に広がる大地。
踏み込めば、さらさらの砂。
(なると金時が育つのは良質の砂地だけ)わたしは大きくなって
市岡製菓・ハレルヤグループに入社しました。
新入社員は、契約農家さんの畑を手伝います。

4月―。
今年も大きく育ってね。
みんなスクスク育ちますように…。
一人ひとり思いを込めながら、苗を植え、
お天道様の下へと送り出します。
6月―。
梅雨に打たれる苗。
嵐にも負けません。
日照りが続いても欠かさず水をやります。
こうして葉っぱは大きくなっていきます。
9月―。
長い間、土に隠れていたあでやかな赤紫。
1本の蔓にこれでもかと、たわわに実りました。
阿波おどりが幕を閉じ、夏も終わろうとする頃、
収穫が始まります。

真っ黒に日焼けした農家さんにとって、
「なると金時」は、箱入り娘。
ちょっぴり栄養のお話をするなら
米や小麦と比べてカロリーが低く、
カリウム、繊維質、ビタミンC、カロテンが豊富。
徳島の「なると金時」を
多くの方に召し上がっていただきたい―。
1994年、なると金時のお菓子の専門店が誕生しました。
それがあとりえ市。
これからもつながることを大切にして
つくる人、食べる人の笑顔を結ぶ存在でありたいな。

阿波になると金時あり 五線譜since1988

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